2006年01月05日

高可用性に関する書籍、『Blueprints for High Availability』5

 今までキチンとした紹介をしてなかったので、あらためて『Blueprints for High Availability』という本を紹介したい。

 以下は、Amazonのレビューに書いた文章だが、少し大げさに書いているものの、恐らく可用性について書かれた現在最も優れた本であることは確かだ。
 著者達は、ベリタスのEvan MarcusとSun MicrosystemsのHal Sternという人だが、別に自社製品の解説や宣伝ではない。固有の製品名も出てくるが、どのベンダーであれ推奨するわけではなく、あくまで公平に、現在入手可能なソリューションの一つとして出てくるだけだ。
 残念ながら邦訳は出ていないが、平易な文章で書かれているので、それほど難しくはないと思う。
 もう少し詳しい紹介と、部分訳は本宅を参照して欲しい。


 この本は、高可用性とディザスターリカバリーについて書かれた、もっとも包括的で優れた本だ。高可用性やディザスターリカバリーとは何か、そしてシステムを高可用に設計し、高可用に維持するためには何を考えなければならないか、この本一冊で学ぶことができる。
 また、社会システムほど可用性が求められないシステムであっても、限られた費用と資源の中で可用性を最大にしなければならないのも事実だ。つまり、どんなシステムであれ、システムを設計しインプリメントし運用するすべての人は、この本から多くのことを学ぶことができるだろう。
 第二版で追加されたニューヨーク商品取引所(NYBOT)の物語は感動的ですらある。NYBOTは9.11のテロで壊滅的な被害を受けたにも関わらず、8時間後にはディザスター・リカバリーが完了した。そこにあるのは、必要なものは単なる技術ではなく、準備、考え方、注意、細部への気配りであり、そして何よりも重要なのはシステムを高可用に保とうという強い意志だということだ。
 この本を貫いているのは、いかに高可用を実現するか、ITシステムを構築する人間が本当に考えなければならないのは何か、という哲学だ。


Blueprints for High Availability
Evan Marcus, Hal Stern 著
Publisher: John Wiley & Sons Inc
ISBN: 0471430269


kxa00121 at 12:13│Comments(0)TrackBack(0) Tales from the Field | Blueprints for High Availability

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